呪術

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<短編:順平>

▼必読

★吉野母子生存前提★

順平は虎杖&ナナミンといっしょに真人を追い払いました。からの保護観察処分として高専入り。 お目付け役は伊地知さん。お母さんは入院中で順調に快方に向かってます。 つまり吉野母子は元気になります。やったね。

▼夢主について(必読ではありません)

一般人かつ社会人。悪意が横行していた元職場への恐れのあまり呪いを呼ぶもおばあちゃんのお裁縫箱(呪具)のおかげで事なきを得ています。ひとり永久機関してる状態なので強制休職&要監視扱い。呪いは見えません。

  • 究極完全体になるまで待ってて

     ※スマホ推奨※背景がにじむ場合は画面の拡縮で直る場合があります※読み込まない場合はリロードしてください。決まったことばで話しかけるとお返事してくれます。それ以外のことばだとランダムにおしゃべりします。 ・おはよう ・おやすみ ・…

  • 僕は来たけどあなたは

    ※スマホ推奨※読み込まない場合はリロードしてください。※ラベル位置調整はゆるして使用ツール:ティラノビルダー、アイビスペイント素材:空想曲線 様|https://kopacurve.blog.fc2.com/   illust-po…

  • 僕はまだいない

    ※読み込まない場合はリロードしてください。※スマホ推奨使用ツール:ティラノビルダー

  • 半熟卵

      皿を揺らしたら同時に震えそうなほど柔らかくて、ぷるぷるのオムレツ。それをチキンライスの上に乗せる手つきにためらいは見えなかった。丸く整えられたご飯に、冠のように輝く卵の色。ケチャップの甘酸っぱい香り。すべてが食欲をそそった。「…

  • アイデアをすぐ試す学生の鑑

    ※順平の言ったとおりにすると全文が読めます。 「僕と澱月で編み出した新必殺技があるんだ。数秒だけこのまま待ってて、動かないで……それ!」「あれ? 順平くんが急に消えちゃった!」 部屋を見回しても、声だけがある。 「わっ」…

  • 下手の猫は爪を噛む

     通話もメッセージも役に立たなかった。こちらからの履歴ばかりが増えていく焦りから逃れようと画面を落とし、辺りを見渡す。 目を通り越して脳裏に突き刺さるほどの西日が、境内を囲う木々の間から容赦なく注いだ。 確かにここで待っているように言った。…

  • インドラの矢

      くすぐったいよ、と笑うさんの声が途切れて、しばらく経つ。 今やその目は困惑に潤んでいるようにも見えた。「順平くん」 見上げる視線はすぐに落ちて。ラグにぺたりと座り込んだ脚は、立ち上がる気力を失っているのだろうか。 それは好都合…

  • カーラーの救命曲線

     呼び止める大声のすぐ後に、手があった。 橙が混ざった鈍色の海面にさざ波が立つのを柵越しに眺めたまま、振り返るのをためらった。きっと順平くんは怒っているから。「どうしてこんなところにいるんだよ」 やっぱり。 この広い公園の奥まで急いで来たら…

  • 若葉マーク

    「高速教習だとかっこいい車に乗せてもらえるんだよ。楽しみだったけど、怖いなって気持ちの方が大きかったかも」 分厚いとは言えない教本だけれど、めくるだけでめまいがしてくる。表示標識義務救護……とにかく覚えることが多い。世の中を走る車はこんなこ…

  • 腑に落ちる

    ※モブ視点 まだ正式な編入ではなく、特別な措置だという。彼は他の生徒と同じように授業を受けながらも、保護観察と称しその生活は常に監視の目に晒されていた。 煩わしくないのか、ルームミラー越しにそう問えば「それだけのことをした」とだけ返ってくる…

  • 爆弾低気圧

     目の前の光景が夢か幻ならどんなによかったか。 家入先生が歩み寄る方には、確かにひとりうつ伏せて倒れている。毛足の長いラグに埋もれるようにして、音もなく。「……さん」 脚が竦んで動けなかった。 これは何かの間違いだと、拒絶することしか、今は…

  • 神がかり

     あらすじ はご都合術式の餌食になりました あらすじ終わり *** その上密室に閉じ込められたのだから笑えない。何とか外部との通信はできたから、ここを耐えたら誰かが助けに来てくれる。 その点での不安は全くない。 その点では。「楽しくなってき…

  • ひつじ

     スリッパから覗くパステルカラーを上へたどっていくと、丸い瞳に丸い鼻の動物のイラストがある。ふくふくと柔らかそうな曲線の模様は、羊の手と綿毛だろうか。さんの足首を彩る可愛らしいルームソックスから目を離せずにいたのを、少し経ってから気づかれて…

  •  花壇の端に陣取る野良猫が見つめるのは、商店街を通りがかった僕たちを透かしたさらに向こう側。大きな毛玉を認め微笑んで近寄って行ったさんをちらと眺め、しかしまた視線を戻してしまう。「可愛いでしゅねー、ひとりなの? おいでおいで」 うーん可愛い…

  • サンクチュアリ

     窓辺に置いた小さな鉢植えは両手で持ってもずしりとした重みを感じる。真ん中に咲いている一輪のパンジーは目の覚めるような黄色を朝日に輝かせていた。「うん。綺麗だね」 頭に被せたタオルのように澱月が僕の上にふわふわと降りてくる。手が塞がれる僕の…

  • 存在

    フィクションのように、両脇を大柄な男性たちに固められることはなかった。逆に、未熟な未成年扱いやそれに基づく懇切丁寧な説得もなかった。ただ悠仁くんと、彼といっしょにいた大人のふたりに知らないところへ連れられて、よくわからない単語の入り混じった…

  • 闇の中

     ついさっき寒気を訴えたはずの目は今やとろりと眠気に飲み込まれ始めていた。その場に座り込もうとするのを支えると、ブラウス越しにも体温が低いのがわかる。 クローゼットの、そう脈絡のないことばを最後に長いまつ毛は伏せられがちに、とうとうことばは…

  • ゴルディアスの結び目

      明かりの落とされた部屋に訪う足音がある。軽く小さく、遠慮がちないつもの調子にほっとするのと同じくして、ゆったりとしたリズムでノックを四回。いつからともなく決められたさんの合図だった。 蝶番の軋みすらわずらわしいのは早く声を聞きたいからな…

  • 開拓レビュータイム

      あらすじ 順平とはとくにアクション映画ファンではなかったけど話題作を観てみました あらすじ終わり「……いいね……」「たまには好みを外れることも大切だね……」「さんおすすめのイコライザー、好きだな」「だよね! ロバートがアリーナに優しく語…

  • ジェントルマン

    「さん」 順平くんはわたしをこう呼んでくれる。「寒くない? ブランケットここにあるからね」 そして、こう。「敬語とタメ語がちぐはぐ?」 気づかなかったとばかり目を瞬かせる。カーテンを閉め切ったこの部屋で、瞳に映る光はテレビの明るさだけ。ふた…

  • おまじない

    生まれたての子猫ほど。そんな風に小さくて無力に見えても呪いは呪い。それがいくつかさんの部屋に集まるのを見て最初は驚いた。しかし当の本人は自覚があるのかないのか既に対策を講じていて。お邪魔します、を控えめに投げかけても返事がないのは織り込み済…

  • 脇道レビュータイム

     あらすじ 順平とは海外ドラマも観てみることにしました あらすじ終わり「ふたりでLUCIFERの第一シーズンを完走した感想をどうぞさん」「伊達男っていいねぇ……」「さん……!」「待ってよ待ってよ、ルシファーがかっこいいって話をしてるんだよ」…

  • 力試し

    十回挑んで、一度も勝てなかった。歯が立たないとはまさにこのこと。「えっと、本気出していいんだよ……?」「本気だよー……」「えぇ……」十一回目もあっさり捌かれ、地上波初放送アニメを待つ暇潰しの腕相撲大会はこうして幕を閉じた。普段の筋トレの成果…

  • テセウス

     新鮮なレタスに目を細めるさんも、嬉しそうにサンドイッチをかじるさんも、もうどこかへ行ってしまった。ささやかな昼食会は今や静寂に沈み、どこかで鳥がさえずるのすら聞き取れる。「僕があなたの骨格になれたら」 頬骨をなぞってこめかみへ。両手で柔ら…

  • ご愁傷様

      暗い空の下で、花が咲くような明るい色が跳ねる。その正体、にわか雨から逃れるパステルカラーのパンプスに雫が散るのが見えた。小走りになるさんは僕を目に留めるなりぱっと笑顔になって屋根の下に滑り込む。「ぎりぎりだったね……入って、温かい飲みも…

  • ことばは届かなくていい

     寝返りを打つ間に寄ってしまったタオルケットを抱きしめて口元に持っていく。眠るさんの、恐らくは限られた人間しか知らない癖だった。 ぬいぐるみといっしょにくるまれる小さな子のようで可愛い……と面と向かって口にするのは何となくはばかられて、言わ…

  • 低血糖

     あんなにも圧のある「は?」を聞くのは初めてだった。電話越しとはいえよりによって順平くんの声でなんて聞きたくなかったのに、なんて悲観はすでに意味はなく、こうして包丁が勢いよく下ろされる豪快な打音を前に椅子から立ち上がることもできない。「どう…

  • オーバードーズ

     小首を傾げる仕草に揺れる髪は柔らかく肩に流れる。その瞬間にも感じたから決して気のせいではなかった。香水はおろか花の名前にも疎い身では詳しく表現するすべを持たない、甘くて涼しげな香りは間違いなくさんのものだった。気づかず黙っていたのを不思議…

  • サラダボウル

    「小学生のころの国語の教科書に乗ってた覚えがあるんだ。病気のお母さんのために女の子が大きなサラダを作ってて」「いろんな動物が助けてくれるやつだ?」「あ、それだよ! さんも読んだことあるんだね」弾む会話は、しかしふたりして視線を手元に向けてい…

  • デイドリーミング

      空気をかき乱していた雷鳴に似た稼働音はふと途切れ、唐突な無音に聴覚が混乱する。開けるのを躊躇っていたドアには微かな隙間があるが指を差し込む気にはなれず、ドアノブを慎重に掴んで引いた。 きぃ、と軋むのは蝶番で、ぱらぱらと降ってくる埃と木屑…

  • 陥落レビュータイム

    あらすじ……おや!? の ようすが……!あらすじ終わり「順平くん! デッドプールはいいね!」「落ちたね」「順平くん?」「何でもないよ。さんがバイオレンスアクションの魅力に気づいてくれて嬉しいな」「ただただグロテスクなだけじゃなかったんだね」…

  • 消沈レビュータイム

     あらすじ 順平の部屋に集まったふたりですが数分無言が続いていました あらすじ終わり「順平くん昨日は幸せをつかむ歌観たんでしょ、ホームコメディって聞いたことあるけど……」「さんだってアイ・ソー・ザ・ライトやっとレンタルできたって喜んでたのに…

  • 錯乱レビュータイム

      あらすじ 順平と、ふたりで吉野宅でくつろごうとしたけどの方はなぜか涙目です あらすじ終わり「この前リメンバー・ミー観たよ……」「だから涙ぐんでるんだ……?」「家族ものはわかってても避けられない……思い出しただけで涙が……」「……お別れだ…

  • 絶望レビュータイム

    ***Attention!文中の三つの作品はどれもとても面白いのです…!***あらすじ順平と、ふたりは自宅鑑賞した映画にそれぞれとてもショックを受けてますあらすじ終わり「アパリションを観た……」「どうだった……?」「推し俳優さんがかっこよか…

カーレンの手を引いて<順平><長編>

▼必読

短編に至るまでのなれそめ編。

  • よみのたべもの

      午後一時の食堂に足を踏み入れるやいなや、まばらに着席していた職員たちのほとんどが残りの食事を急いで食べ始める。広げていたものを雑に片づけて席を立つのも数人。 そうして、ウォーターサーバーから紙コップふたつに水を注ぎ終わるころに…

  • 海坂へ

      久しぶりに足を踏み入れた中華街は、朝早いながらもすでにそこそこの人通りがあった。もの珍しげに辺りを見回すさんも数年前に一度来たきりだという。小籠包を初めて食べて、それ以来大好きになったとか。 漂うごま団子やシュウマイの香りは、…

  • シャングリラの絵筆

      彼女には、ここがただの船着き場に見えるのかもしれない。けれど渡された橋の両端それぞれには、りんごの影ほどの小さな呪霊がぼんやりと座り込んでいる。「このあたりの水場をくまなく見渡すなら水上バスがいいと思う」 大通りの案内を見て思…

いさなとさかどり<順平><長編:完結>

▼はじめに

短編とは異なる世界線です。渋谷事変あたり。

  • わたのそこ

      ほとんど青色に沈んだ通路で、その目はテトラを見ていた。 わずかな光をちらと反射する小さな体を夢中で追いかける瞳は、やがて後ろ髪を引かれるように次のきれいなものを探しにいくのだろう。 二度とこちらを振り返らずに。 *** 「ずた…

  • いめたてて

      今が深夜ではないことを、ついさっき知った。舞い上がった灰やチリが濃すぎて、厚い雲のようにここ一帯を覆っているらしい。その証拠は、空の暗がりの向こうでほんの小さく輝いている。 ――そんな異常気象について考えることは、優先順位の遥…

  • たまかずら

     彼は奇妙と形容するには大げさなゴーグルをかけていた。ただ、このひたすらな暗がりの中では不便だろうというだけ。読みづらい表情が、淡々とした口調のせいで拍車をかけていた。「往来で何を言い合っているかと思えば」 お説教の様相を呈したことばは、途…

  • すがのねの

    「絶対にここを動かないで」 彼はそう告げ。「何かあったらすぐに呼んで」 そうつけ加えた。 履いた靴をそのままに家の中へ入っていく順平くんを見送るわたしは、玄関に留まっていた。何をするでもなく降ろしたリュックを胸に抱いて、飛び出そうなほどうる…

  • ゆふづくよ

     順平くんの家の廊下にソーイングセットを落としたままだ。そう気づいたのはこの部屋に入ってしばらく経ち、真夜中に差しかかったころ。 市職員のカードを提げたおじいさんに半ば無理矢理押し込まれたのは、駅前通りに立つ背の高いビジネスホテルだった。非…

  • くずのはの

     大浴場だろうとなかろうと、ホテルのお風呂は好きだった。とくに、疲労でじんわりと痛む両脚が癒えていく気がして。今も同じ心地で、脚を伸ばせる大きなバスタブで深く呼吸ができる。足指を水面の近くで広げるとわずかに滴が跳ねた。 そうして、慣れないシ…

  • いさなとり

    「肩に違和感があったんだ」 そのことばはくぐもって、後ろから。「灰か何かが潜り込んだのかと思って拭ったんだけど、そうしたら皮膚ごと剥がれて。このツギハギ模様が出てきた」 微かな身じろぎが衣擦れの音を伝わせる。眠れなくて何となく眺めていたカー…

  • ぬえどりの

      次の日はあっけなくやってきたし、わたしたちは問題なく睡眠をとることができた。「おはよう」 そう言い合うのが、半ば呆然とした調子になるのも仕方ない。もうこれ以上何かが始まることなんてないと思っていたから。 けれど、それはわたした…

  • なつそひく

      遠景。 大きなホールで、きれいなグランジュッテを披露するプリマに感嘆と羨望の視線が送られる。その観客席から途中退場したのはひとりの女生徒だった。練習着を整えると、鏡とバーが据えられたレッスン室へ入っていく。 いつか彼女のように…

  • さかどりの

    「あなたたちと別れて東京へ戻る途中、彼を見かけて引き返してきたんです」 もうささいなものになってしまった疑問に端的に答え、あくまで冷静に席を立つ姿をただ眺めていた。呆然を通り越して何の感慨もわかない空虚のまま。「私には最後の最後に未練が増え…

  • ひさかたの

      わたしたちを駅まで送ってくれたそのひとは、昨日とは違って渋い顔をしていた。「呪霊はすべて祓うべきものだと思っていました。けれどあなたたちを見ているとわからなくなる」「よかった」 微笑んで、順平くんはわたしと同じように窓越しに彼…

  • ※おまけ

    ※本編制作時のメモなどです。         コンセプト順平と凪さんで死亡順が逆だったら?「…指?」の後に一命を取り留めていたらというIF凪さんが巻き込まれた時点で順平的にはアウトなのでもう高校を襲撃しに行くという前提で。凪さんは…