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以前書いたものをまとめました。名前変換なし。

FF

▼夢主について(必読ではありません)

8:ガルバディア生。アーヴァインのひとつ下の後輩。イデア暗殺作戦辺りからパーティ参加。

 

  • 熱帯魚

     急に勢いよく寄せた波に攫われて浮き輪が岸へ流されていった。つま先立ちで辛うじて足がつくところにまた波が打つと海面は口元を塞いでしまう。 こんな失敗はしたことがなかった。泳げるとはいってもそれは平静の場合の話。不規則に遮られる呼吸は静かに膨…

テニプリ

▼夢主について(必読ではありません)

山吹から他校へ留学中の3年生マネージャー。

 

  • テレパス

     ジャージを脱ぐ手、ガットをなぞる指、日差しを避けるまぶた、わたしの隣に腰かける動き。「跡部くんは綺麗だね」 気づいたら口をついていたそれは、やっぱり相手には聞こえていた。タオルで汗を拭いながらこっちに投げられる目線は訝しげ。「それは、こと…

  • あなた好みは似合わない

     期待に満ちた目が、期待を込めて瞬くのを見た。「仁くんの好きなタイプは、何かこう赤いのが似合う子なんでしょ」「……んだその曖昧な質問は」 鞠花の聞きたいことは大体わかる。とはいえ否定する意味もなく適当に返事をしてやると、途端に難しい顔をして…

  • 夕暮時の悪人

      どこか遠くに行きたいな。 使い古されたことばが、まさかこの「穏やか」「真面目」ということばを体現したようなマネージャーから出てくるなんて思わなかった。「本気?」「本気だよ」 真夏の真昼。晴天の下で、御巫ちゃんはどこかとろんとし…

  • こっち向いて

     御巫は、両手を緩く握り合わせたまま立ち上がろうとしない。その視線の先では、一年生同士の練習試合が未だに続いていた。(数分前は押されてたやん。なかなか粘る) 意外な展開に思わず口角が上がる。山吹と、どこか他校の一年生。山吹の緑のヘアバンドの…

  • パブロフの子犬

    「跡部くん跡部くん、ほらこれ、やっと出来たの。ねえねえ」 お昼休み、わたしが満を持して披露したのはスマッシュでもなくサーブでもなくリフティング。もちろんラケットは持ってない、わたしが操るのはサッカーボールのみ。「たったの五回じゃねえか」「昨…

  • キネオラマ

     赤、白、黄色。チューリップじゃない。そんな色とりどりのまばゆい光がちらついて、目が灼けるようで。本来色鮮やかなはずの画面は、日に当たりすぎた紙のような、セピアに似た鈍いものに変質していく。 まるでキネオラマだ。本当はそんなことないのに、光…

  • 不意打ち

     春から夏にかけての生温い空気の中で、夢現のまま目を閉じている。 幸村くんといっしょに、一年生の練習を見ている最中だったのに。「今なら大丈夫、後で起こすから」 走り込みに行ってしまった一群を背にそう微笑まれると、あの眠気はどうしてもこらえら…

カリギュラ

▼部長について(必読ではありません)

自宅部長。失敗恐怖症からの睡眠障害のコンボ。怒られないために怒らない。

 

  • ミルクティー(レモンをひとしずく)

      そのまま聞いているといい。「僕はただ心配しているだけさ」 スプーンでカップの中身をぐるぐるとかき混ぜる手を止めないのは、琵琶坂となるべく目を合わせないためだ。ほのかな湯気が目を温めていくのが気持ちよくて、そのおかげで何とか平静…

  • 愉快犯のパンプキン

     「いいのよ、イタズラしても」「むしろどんとこい、よ」「き、き、来てください!」「撮らないから、ね! 約束するからー!」「どーんとぶつかってきてください!」「僕の」「みんな酷くない?」「鍵介に対するお前の態度のほうが酷い」 トリッ…

  • 林檎の日

      彩声の目線は外れない。赤い頬。とろんと眠そうな目(これはいつも通り)。この一時間で三回ほど転びそうになった両脚。普段の三十倍は隙だらけの鞠音は、体育の授業のために着替えていた手を止めてぼんやりと突っ立っていた。体操着の袖から腕…

  • 烏羽の秒針

     怒鳴り散らす声がする。悪態で返す声がする。その様子を面白おかしく言いふらす声。誰にも聞こえないため息。すすり泣き。音ばかりが、きつく閉じた暗い視界に積もっていく。 そう遠くない未来、頭の先まで隙間のないミルフィーユになるのだろう。お腹の中…

  • 年長会議の議題にされるこた主

    『一年トリオと別れてそっちに向かってる』 帰宅部のWIREグループに届いたそんなメッセージを最後に、鞠音から連絡はない。音楽準備室ではそれぞれがGossiperを眺めたり雑誌を読んだりと好き好きに過ごして彼女を待っていた。琴乃があんな口火を…

  • ロードムービーしたかったこた主

     一礼して生徒が走り去っていく。それを眺める鼓太郎は満足げに頷いてハイタッチを求めてきた。いつも輝いている瞳が今日はさらに眩しく映るのは、温泉前の広場に飾られた綺麗な照明のせいでもあるかもしれない。「またひとり救っちまったな!」「爽快だね」…