SEED短編

シュレッダー

  食事内容。 起床時間。就寝時間。眠りの深さ。 服薬のタイミングと量。 戦闘シミュレーションのレベルと撃墜・被弾の傾向。その計測後のカウンセリング。 血中成分。 筋肉量。 体温。 心拍数。 日々のあらゆることは数値で記録されてい…

スローダウン

  二度噛まれた。「いや」 そう言い募る唇に触れようとして指先を一度。何しやがるこいつと真上から口をふさごうとした手のひらの側面を一度。右手にはの噛み跡がふたつ残った。連合には鷹だの鷲だの呼ばれたエースパイロットがいたらしいが、な…

ブループ

  歩いている途中にポケットから落ちたハンカチのよう。 目の前で座り込む、というよりくず折れている人間を見かけた第一印象がそれだった。艦の廊下を壁伝いに進もうとして力尽きた、肩で息をする人影。 見慣れた、小さな背中の。「」 そうだ…

欠陥品

  海風は昨日よりさらに激しさを増していて、これ以上ない好条件。機器のテストについては。 Nジャマーのおかげでもともと電波状況は最悪。だからこそ艦に乗せて前線かつ海上へ運び出す中継装置は貴重な生命線だった。荒波強風に負けない強度は…

ロレムイプサム

  いつの間にか引き結んでいた拳をやっとのことでこじ開けた。操縦桿を握る、壁を殴る、普段から酷使している手はのそれのような柔らかさからはかけ離れている。「オルガの声」 諸々の情報を削ぎ落としたことばは、しかし感情だけは伝わった。空…

ティーンエージャー

  ここまでのあらすじ「この時間帯は待機室のビデオログをつける! お前たちはどうせまともに行動記録なんてつけられないからな!」 あらすじおわり 正確には「仮につけたとしても活用に値しないものができあがる」だが。論理的な思考とその出…

出来損ない

  保護具、サイレンサー、時間制限。邪魔なものをすべて取っ払っても弾は的の外周そのまた外の壁面へそれていった。この銃の整備不良も疑ったが、ついさっき同じものを手にしていたは下手なりに命中はさせている。人型をしたターゲットの肩や腕あ…

シャノンの最終機械

  IFFと同等の技術は連合でもザフトでも当たり前に使われている。混戦において間違って味方を攻撃することがないように、各機体から信号を常に発信しておくのがオーソドックス。その信号は自軍の機体に搭載された兵装を制御するから突発的な誤…

生活指導

 「君なら経皮吸収くらいわかるだろう? たとえ定番品だろうが彼らの体内に入り込んだら相互作用を引き起こす可能性は十分にある。つまり慎重に慎重を重ねた確認が必要になるわけで」 と懇切丁寧に説明する私の心労などつゆ知らず彼らは興味深く…

コップの中の嵐

  シャニにベッドを占領されたは、ふてぶてしくあお向けで寝そべる男のすぐそばで申し訳程度に腰かけていた。向かいに無人の二段ベッドがあるにもかかわらず。「どこで寝ても変わらないんじゃないの」 入口で身を乗り出すと、センサーに引っかか…

グレーゾーン

  騒ぎの中心にいるふたりはガタイのいいツナギの男たちだった。雑な仕事しやがってだのタダ同然の金払いで偉そうにだの、職人同士らしい言い争いは次第に掴み合いに発展していく。タイミングがいいやら悪いやら、このドックには乱闘を止めようと…