オルガ

朝もや

 「ガキ」「ガキオブガキ」「キングオブガキ」 誰がどれを言ったのか。それはともかく、わたしがこんなにも一生懸命説明しているのに一斉にこの反応。夜中に全員叩き起こしたこちらに非があるとはいえあんまりだ――と立場を棚に上げて悲観してし…

シャッターチャンス

  私は常々考えている。報道とは皆へ公平に情報を提供する神聖な活動だ。知らないままでは、受けられるはずだった利益を受けられない。隠れたところで悪事を働く輩を暴かなければ犠牲者は増え続ける。そのような悲しい事態を未然に防ぐことだって…

アクセント

  今日の帰り道は長い。「それでね、今度は駅向こうの……」「あー、新しくできたとこ! そこにしましょう」 目の前をが歩いているが、その隣に他人がいるとやけに話しかけづらい。傍から見れば十歩ほど離れてはいるだろう距離は、こちらが意図…

男の子

  オルガがみんなの中で少しだけ早起きなのは、このヘアワックスのためだった。小さなケースから適量を掬って手のひらに伸ばして前髪へ――の一連の動きは手慣れていて、まじまじ観察する間もなく終わってしまう。ひとりで肩を落とすわたしを、オ…

  差し出されたものにはとてもよく見覚えがあった。「はい。差し入れ」 これで三度目だったと思う。さすがに気づき始めた違和感は、けれどクロトがさっさと教室を出ていってしまったから保留になった。「ふたりで食べようよー」 呼び止める声は…

生活指導

 「君なら経皮吸収くらいわかるだろう? たとえ定番品だろうが彼らの体内に入り込んだら相互作用を引き起こす可能性は十分にある。つまり慎重に慎重を重ねた確認が必要になるわけで」 と懇切丁寧に説明する私の心労などつゆ知らず彼らは興味深く…

続 サイコロでつくった本

 第2弾ができました。やったぜ。 夢主またはお相手のどちらかが拘束されてるシチュエーションばかりです。手錠だったり目隠しだったり口ふさいでたり。あーもう(性癖)めちゃくちゃだよ 自宅に届いたのが25日。クリスマスです。がんばって締め切りに間…

デバフ

  額を拭っていくタオルはほどほどに温まっていた。先ほど頭の下にねじ込まれた枕が冷えているのとは正反対。 脳裏に滞っているようだった不快感が薄れていくのを感じながら重い瞼を開くと、ベッドのすぐそばにが膝をついている。その手に握って…

防犯ブザー

  今週は全国ナントカ協会の防犯キャンペーンらしい。お昼休み直後の校内放送は、強烈な眠気に負けたわたしを含めたほとんどの生徒がまともに聞いていなかった。とはいえ、そんな日だったという印象づけには成功したはずだ。 わたしたちの手元に…

ホットコーヒー

  人を、看取ったことがあるという。今となっては幸福なことだろうに、それを話すのはぽつぽつと力なく。「一度血圧が下がり始めたらだめなんだって。指先からどんどん冷たくなって……わたしが握ってたらそのときだけは温かくなったけど」 の両…