シャニ

対人ゲーム

  食事も家事も済ませてしまった雨の休日、そして大好きな趣味もたまには食指が動かないときだってある。そんな条件がそろった日は満場一致の「暇」がおのおのの口から飛び出るのが恒例行事だった。わたしが小さくあくびをこぼしてしまう横で上が…

  そこらじゅうで騒がしく働く人間たちの中に、若い顔が混じり始めたのは艦が海上演習から戻ってからだった。新しい軍服に身を包む彼らは、真剣な顔で機体や機器について説明を受けている。 その、説明する側のひとりには見覚えがあった。この通…

やばい

  刑務所や病院の一部の部屋では、壁や床を柔らかい素材で覆っていると聞いたことがある。受刑者や患者が暴れて体を打ちつけ、けがをしないようにという対応だとか。それならいっそこの光景のように、拘束してしまったほうがましだと思うのは当事…

ないものねだり

  その日は町に出る気がなかったから砂浜を歩いていた。適当に時間をつぶして、帰投時間ぎりぎりまでこの手ぶらをごまかすつもりで。 波の音のほかには、ときおり甲高く鳴く海鳥の声だけがある。それらすべてを聞き流しつつ流木のそばに座り込ん…

頭からっぽ

  艦が海上へ出てはや数日。せっかく運び込んだ試験段階の支援兵器の評価は、予報の外からやってきた雨天や強風のために満足に進んでいなかった。そのせいでMAやMSとの連携の確認も同様に滞っているどころか問題点が増えていき。工数を増やし…

蜂蜜

  奪われたのは動きと呼吸だった。 いつの間にやら寝返りを打っていたのか、視界にはベッドの天板ではなく壁が広がっている。唯一自由な視線を下げ、体を縛りつけるようにお腹に巻きついているものを見下ろした。その正体にうっすら気づいている…

サイコロでつくった本

 自分へのクリスマスプレゼントっぽくしたくて、発行日を今年のクリスマスイブにしました。かつ初のR指定本。 9人分のイラスト&短編ができあがったときは達成感がものすごかったです! 自分の好きなお相手&性癖が詰まってる~! 表紙上:オルガ、シャ…

過去

  小さなころのある日、突然に死を理解した。きっかけはテレビ番組か、絵本か。そんな細かいことは忘れてしまったけど、母に泣きついたのは覚えている。「お母さん死んじゃやだ」 死なないわ、そう言って優しく頭をなでてくれる母の膝にいつまで…

ネギトロ軍艦

 「あいつら今どのあたりだ?」「ついさっき校舎出たってさ。シャニはいったん部屋に戻って、はまっすぐこっちに来るって」「ったく時間かかりすぎだろ」「先食べ始めちゃおうよ。僕たまごー」「茶でも入れるか……」「そういえば、俺たちのことき…