SEED長編

おまけ

  ※長編の元ネタなどをまとめていたメモです。 ・喫茶店 本編での三人が液体しか口にしてないなと思ったので、なにかおいしく食べてほしくて ほっとひと息してほしくて あと私がモーニング大好きなので・花火 これまでに書いたい…

★★★

「そういえばさぁ」 バッグの肩ひもを掴んでぐるぐる大きく振り回していたクロトがふと振り向く。その先には彼の発言をぎりぎり拾ってよそ見をやめたオルガがいた。数分ぶりの会話に意識を向けるのは全員遅れ、ばらばらと不揃いに。「その金塊みたいなのって…

8

 「動かない方がいいんじゃないの?」 口調は軽く、状況とのミスマッチが寒気さえ感じさせた。声の主は、兵士の首へ突きつけたナイフの刃を寝かせてそうっと滑らせてみせる。もちろん、彼にはその光景が直接は見えない。わたしとオルガの反応で、…

7

  自分が寝ついたタイミングはわからなくても、寝て夢を見ているんだと自覚できることはある。今がそうだった。 あお向けに横たわって目を閉じているのに、眼前には部屋に並ぶベッドが変わりなくある。夜の黒をカーテン越しに注ぎ込んで、記憶よ…

6

  商品入れ替えのため値下げ中、大容量サイズ。火種用の固形燃料がセットでさらにお買い得。 おもちゃ屋でシャニが興味を示したそれをお土産に買ったことを、宿舎の通用口に詰めている兵士に報告した。窓口の向こうで眠たげにしていた彼はすぐさ…

5

  ふっくらとした輪郭の円形の端から、まっすぐに。ときには蛇行したりひび割れた線を入れながら小麦色の上を泳いだのはイルカ。 昨日、ホットケーキの皿に添えられたナイフの刃先にはイルカの丸い目が彫られていた。なめらかな刃は体、意匠の曲…

4

  つまんだ名刺をひらひらとさせるのにも飽きたようで、シャニは寝転がりながらそれをバッグのポケットに戻した。よそ見をしたせいで角がぐにゃりと曲がる。「少し向こうの町か。この会社があるとこ」「魚料理がおいしいんだって」 これは朝に読…

3

  ひと足先に宿舎について、もうベッドに寝そべっていたオルガのぼやきを聞けた理由。「当然のように四人部屋なんだよなぁ」 この通り。ここに召集された兵士のほとんどが各大部屋の定員ぴったりまで押し込まれるらしい。通過してきたロビーのざ…

2

  甲板から見下ろしたその姿は、目を焼くほどまぶしかった。それはタイミングの悪さのせいで、実際には車体が返した真昼の日差しただそれだけ。 仕立てたばかりのドレスのように真っ白な体、そのあちこちに散りばめられる金の星。 天使の羽を紡…

1

  夜の暗がりが連想させるものは、わたしたちがもうすぐ向かう場所を嫌でも連想させる。「宇宙になんて行きたくなーい」 グラウンドのそばにある研究棟からの目も、周りも気になってはいたものの、軽く叫んでみた。火花の弾ける音と煙の向こうか…