磔
勢いだけのあいつ。大声だけのあいつ。とにかく数だけのあいつら。こちらがひとりきりだったなら何とか全員黙らせることができただろう。けれど今日はふたりだ。 ずっと待ち望んでいた、ふたりきり。「ちゃん、こっち」 仕込み中の札がかかっ…
WB短編十亀
とどめを刺す
ここまでのあらすじ「バブみこそ癒し!」「塩対応が至高!」 あらすじおわり 「何やらエキサイトしてる……」「どんな相手がタイプかって話らしいよぉ」 獅子頭連も防風鈴もごちゃ混ぜの討論会は広場のあちこちで異様な盛り上がり…
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ヒヤリハット
単なるジェスチャーだった。今日の授業のことを話してくれるちゃんが空へ両手を伸ばして、白い指先が白い雲を示した瞬間。「それでね、こう……あっちゃんがスリーポイントシュートでね」 ふむふむと頷きながら目で追う先には丸い輪郭、なめら…
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誘拐
ここまでのあらすじ「こっち来てくれ! 十亀さん落ち込んでるんだ!」 あらすじおわり 改札を出た直後に男の子たちに連れられた先では、確かに十亀くんが駅前のベンチに落ち着いていた。数人がそれとなく遠巻きにしているその姿…
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裏切り者
倉庫のドアを破ることより、わたしの説得を優先する焦りを感じる打音だった。がんがんと金属を殴りつける耳障りなそれの合間に、外の彼の声がかろうじて届いて。「あんただまされてんだ、だから俺と来いよ」 一見普通の、私服の男の子だった。…
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繰り返す
ふたりの会話は聞いていて楽しかったり落ち着かなかったりする。話題の大半がひとりの男についてに偏っていくから。ともあれちゃんの今日の帰り道はそうやって賑やかだ。駅からの徒歩数分が信じられないくらいに早く過ぎていく。「そこで亀ちゃ…
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頭
一度、十亀くんの髪をなでさせてもらったことがある。ふわふわで気持ちよくて、うなじのところはさっぱりして。癒しの手触りがなんだかクセになって続けていると「ちゃんくすぐったい」とこちらも気持ちよさそうにして。 そんな彼が、少し前ま…
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拘束
片腕でも事足りるくらい小さいくせに背中はがら空き、油断も隙もあり余っている。スマホを鞄に片づけているところへ静かに両腕を回せば、簡単に彼女を縛りつけられた。びっくりしてひっくり返った悲鳴を上げてももう遅い。「捕まえたぁ」 これ…
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逆光
「それがお願い?」 あまりに深刻な顔をするから、それなりに深刻な何かだと思っていたぶん拍子抜け。いい意味で。そうして小さな「お願い」のとおりに屈むと、彼女の緊張が少し和らぐのがわかった。真昼の光の下で、なおさら。「ありがとう。十…
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