テレパス
ジャージを脱ぐ手、ガットをなぞる指、日差しを避けるまぶた、わたしの隣に腰かける動き。「跡部くんは綺麗だね」 気づいたら口をついていたそれは、やっぱり相手には聞こえていた。タオルで汗を拭いながらこっちに投げられる目線は訝しげ。「それは、こと…
テニプリ跡部
あなた好みは似合わない
期待に満ちた目が、期待を込めて瞬くのを見た。「仁くんの好きなタイプは、何かこう赤いのが似合う子なんでしょ」「……んだその曖昧な質問は」 鞠花の聞きたいことは大体わかる。とはいえ否定する意味もなく適当に返事をしてやると、途端に難しい顔をして…
テニプリ亜久津
夕暮時の悪人
どこか遠くに行きたいな。 使い古されたことばが、まさかこの「穏やか」「真面目」ということばを体現したようなマネージャーから出てくるなんて思わなかった。「本気?」「本気だよ」 真夏の真昼。晴天の下で、御巫ちゃんはどこかとろんとし…
テニプリ千石
こっち向いて
御巫は、両手を緩く握り合わせたまま立ち上がろうとしない。その視線の先では、一年生同士の練習試合が未だに続いていた。(数分前は押されてたやん。なかなか粘る) 意外な展開に思わず口角が上がる。山吹と、どこか他校の一年生。山吹の緑のヘアバンドの…
テニプリ忍足
パブロフの子犬
「跡部くん跡部くん、ほらこれ、やっと出来たの。ねえねえ」 お昼休み、わたしが満を持して披露したのはスマッシュでもなくサーブでもなくリフティング。もちろんラケットは持ってない、わたしが操るのはサッカーボールのみ。「たったの五回じゃねえか」「昨…
テニプリ跡部
キネオラマ
赤、白、黄色。チューリップじゃない。そんな色とりどりのまばゆい光がちらついて、目が灼けるようで。本来色鮮やかなはずの画面は、日に当たりすぎた紙のような、セピアに似た鈍いものに変質していく。 まるでキネオラマだ。本当はそんなことないのに、光…
テニプリ裕太
不意打ち
春から夏にかけての生温い空気の中で、夢現のまま目を閉じている。 幸村くんといっしょに、一年生の練習を見ている最中だったのに。「今なら大丈夫、後で起こすから」 走り込みに行ってしまった一群を背にそう微笑まれると、あの眠気はどうしてもこらえら…
テニプリ幸村