RE!長編01-01

10

「それでは、やはり彼らは取引をしているというのね?」「強奪だよ。すでに決まった契約を一方的に破棄しようとしてる」「そんな……」「荒稼ぎの手としては上品な方だね。殴り倒して根こそぎ持っていくわけじゃない」 エレナがうつむくのを、アラウディは意…

09

「まだ寝ないのかい? もうこんな時間だけど」「眠たいけど、気になることがあって」「何かあったの」「キスって何?」「そのことば、どこで聞いた?」「ロンシャンくんが言ってたよ。好きな子にやってもらうんだって」「ふぅん」「どこいくの?」「急用がで…

08

 ちゃんがわけもわからず持っていた、通信の形跡がない携帯。あまりにも怪しいので、そのまま電源を落としておくことにした。 代わりに渡したのは、型落ちが過ぎてところどころ水色の塗装が削れた小型機。PHSと呼ぶのだと草壁が詳しい機能とともに得意気…

07

「先生たちがいっぱい運ぶんだって」 何を、と問えばこんなの、と両手を広げて四角をした大きさだけを示される。何もわからない。 屋上のコンクリートにぺたりと座り込む姿は、どこから調達したのか上下ジャージで統一されている。埃っぽいところに行くのな…

06

 彼女がちゃんに寄るのを止める者はいない。それをいいことに、ためつすがめつその姿を観察し倒し――結局ハルは残念そうに首を横に振った。「ハルも知らない制服です……」「そっか……」「それにしてもとってもキュートです! ちゃん、ぎゅーってしてもい…

05

 雲雀に怒られた。 そんなことを聞いてしまえば好奇心より恐怖心が勝る。これまでに咬み殺された思い出の数々は走馬灯のようだ。それがまさかちゃんにまで降りかかるなんて。 雲雀が獲物を狙う表情は冷たい無表情か獰猛な笑みと相場は決まっている。それを…

04

 愛する街は荒んでいた。喧嘩も略奪も絶えることなく、子どもたちはひたすら怯えるか、原因である大人たちに続くかの二択しか与えられない。 それが嫌だった。だから、変えようと思った。 今日この日のように、誰もが何の心配もなく魚釣りにでも興じるよう…

03

 風紀委員長直々に応接室に連行された人物Aの姿を目撃して、かつ正確に覚えている者は少ない。人間はあまりにも信じられない光景を見ると、自身を守るために脳が記憶を改ざんするようにできている。 それもそのはず。並盛中の秩序の権化が、人型をしたもの…

02

「お願い」 真摯だがたどたどしいことばは、声を発するのに慣れていない印象を受けた。ぎりぎり中学生に見えなくはない歳のころとしては、違和感が拭えない。 そして名前、年齢、所在。身元の何もかもがわからないと言われたらますます怪しい。見たところ、…

01

「おいで」 深夜の学校の屋上に、自分の声だけが響く。少し離れたところにいたちゃんはそれを聞くなり嬉しそうに頷いて歩み寄ってくる。「楽しそうだね」「だって、いつもは夜ふかしはだめって言うのに。今日はどうしていいの?」「流星群が見られるって聞い…