RE!長編01-02

06

 エレナの語る理想を、マリーナはにこやかに頷きながら聞いている。ふたりはひとの目をよく見て話す。だから、そうではない者が傍から見ればまるで熱心に見つめ合っているかのようで。 おまけに、その舞台は屋敷の庭に据えられた白いテーブルときている。降…

05

 ちゃんが言いつけを守らないことがある。それを目の当たりにするのはこれが初めてだ。「まだちょっと痛いんだよね? それって元気じゃないんだよ。だからいつもみたいに動いたらだめなんだからね、お医者さんも言ってたもん。おつかいなら任せて、ぼくお買…

04

崩れた壁、暗い部屋、差し込む外光。一見、先ほど骸と相対した部屋と何ら変わりはなかった。目の前でちゃんが眠る以外は。「……」這いつくばったまま顔だけ上げるが、声が出せない。ほとんど感覚のなくなった体では、それが痛みか渇きか、吐いた血なのか、ど…

03

「隣町に行ってくる」 当然のようにちゃんはついて行きたがったが、当然のように止めた。ワイシャツの袖口を摘む丸い指は、まだ離れないまま。 応接室の外では、校区内での待機を命じた委員たちがばらけ始めている。目撃した生徒たちが逃げを打つような威圧…

02

 とてつもなく機嫌が悪い。朝からそんな自覚がある。 草壁は用件を済ませるなりそそくさと屋上から出ていった。顔にも態度にも出したつもりはないが、伝わっていたらしい。それを不思議がる立ち位置のちゃんは、今は不在だ。 ――何もかも、あの子を連れ出…

01

 部屋に行ってみれば案の定、まだちゃんは起きていた。明かりを落としたまま、カーテンを開けてしとしとと降り続ける雨を眺めている。ベッドの上で頭から毛布を被った姿は大きな饅頭のよう。「眠れないの」「……眠たくなくなっちゃった」 後ろ手に扉を閉じ…