ここまでのあらすじ
悪さして風紀委員会にしばかれたモブ男。むしゃくしゃしてグラウンドを通りがかったみどりについ突っかかった。
あらすじおわり
「お前なんて委員長のお人形のくせに!」
口から出任せだったものの心底からそう思っているわけではなかった。風紀委員長と、彼と比べたら無害そのものな女の子。ふたりが何かといっしょにいるところを見かけていた、それだけの話。親戚のちびっこが犬のぬいぐるみを連れて歩いていた姿を思い出して。
なのに。
「お人形……」
きょとんとオウム返しをした玖珂はなぜだか一気に赤くなる。思っていた反応と違う。そこは身に覚えのない暴言に真っ青になるところじゃないか。理由は違えど戸惑うのは彼女も同じらしく、鞄をぎゅっと抱えて後ずさり。
「ど、ど」
「ど?」
「どこまで知って……?」
目を潤ませながらの途切れたひとことには予感があった。
まさか、とても口には出せないような関係だったりする?
「いや、ごめん、なんか……」
中坊の限りある知識と偏見でなされるのはろくでもない想像ばかり。こう、深夜にテレビで放送する映画のあれやこれや――女の子に言って聞かせるのもはばかられるような。
そうして硬直してしまう間に彼女はくるりと背を向けると校舎へ走り去ってしまう。けっこうな足の速さで。
「覗きだぁー!」
捨て台詞とともに。
「ひと聞き悪いこと言うな!」
うさぎさんの飾りがついた髪留めが忙しなく揺れるのを見送りながら、図らずも図星を突いてしまったのだと確信する。覗かれてはまずいこと? そんなの、何通りでも思い浮かぶ。
「あの子」
「あぁ」
先ほどゴツい委員たちに地面へ放り投げられたせいで砂まみれの全身をはたき、下世話な想像にいそしみつつ答えた。
「うさぎがついてたよね」
「……あぁ……」
手を止める。
「僕がつけたんだ」
――そろそろ三途の川を渡る準備するべきだろうか。
遠くで走り込む野球部しかいなかったはずの背後からあの男の声がする。やけに誇らしげな。
「……俺は無実です……」
なるほど玖珂の髪の可愛いアレンジはそういうこと。口は災いのもとと身にしみて実感しながら、もう何もかも諦めながら、得物を振り上げて風を切る音を聞いた。
「みどりで何を想像したんだい」
次に俺が発見されるのは明日の朝かもしれない。花壇に頭から突き刺さった姿とかで。
ランダム単語ガチャ No.4949「ままごと」
