ふと目を覚ましたときには、ベッドの足元に寄せていた毛布が胸のあたりまで覆いかけられていくところだった。ほんの十数分ばかりの睡眠の先にも、視線を少し巡らせればすぐそこにみどりがいる。少し驚いた目は、こちらを認めるとほころんで柔らかく細められた。
「ごめんね。起こしちゃった」
「なんともないよ……これを?」
「うん、ちょっと冷えてきたから」
日が傾きはじめた時刻、このごろは秋と冬が交互にやってくる。部屋に満ちていた昼の空気もすぐに暖かさを失ってしまうだろう――などと考えるのは、昨日は僕の役目だった。
キョーヤのベッド好きなんだと言いながらころりと横になった体を毛布でくるむと、あくびをする子猫のようにとろけそうな笑みがあって。
「肩までお布団があるととっても気持ちいいよね。わたしキョーヤにこうしてもらうの大好き」
そして今は、くるまれるのはこちらのほう。
小さな手が毛布を伸ばして、肩を通り越して口元あたりまで持ってくる。すると、これまで触れていたささやかな冷気がほとんど遮られた。そうしてやってくるのは心地のいい温度。すぐそこに座り込んだみどりがぽんぽんと優しく肩をたたいて眠りを誘うようなリズムを作ると、全身を包むふわふわとした肌ざわりがゆったりと揺れてそよ風を思わせた。
嬉しそうに笑う、微かな声もあいまって。
「キョーヤ大きいから、こうするとお布団がこんもりしてかわいい」
「……みどりが言ったこと、わかったよ。これはいいね」
「眠たい? 気持ちいい?」
「両方」
覗き込む笑顔、その頬に触れたくても腕すら抜け出しがたい。
「おいで、みどり」
だから、呼んだ。こうして誘えばみどりは絶対に断れないのを知っている。目を閉じて待っていればすぐにでも、隣にもうひとつの温もりがやってくるだろう。
ランダム単語ガチャ No.103「ふわふわ」
